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やっぱりおかしいエネルギー基本計画

公開日: : 最終更新日:2014/05/01 エネルギー関連ニュース

お疲れ様です。
今日も考えました。
エネルギー基本計画。
この計画に則って進めて行ったときに、この社会は良くなるのでしょうか?
私には、数10年後に後悔している私たちの姿が思い浮かびます。
私は、それとは違う方法で、エネルギー合理化を進め、よりより社会作りに貢献します。
例えば、石炭火力で作った電力だけど、消費する事業者が凄くて、ほとんど電力を使わないとか。。。
そんな社会、日本がカッコイイよね。

古賀茂明 日本再生のために—「エネルギー基本計画で日本は完全にエネルギー後進国へ」ほか
古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンvol088—日本再生のためにより
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38953

 

1.エネルギー基本計画で日本は完全にエネルギー後進国へ

4月11日にエネルギー基本計画が閣議決定される予定です。まだ、正式な最終バージョンはありませんが、内々に入手した最終案を見て、本当に悲しくなりました。

この基本計画の要旨を私なりにまとめると以下のとおりです。官僚と族議員の「利権の章典」です。

・原発はこれまでどおり続けます。何があっても止めません。
・核燃料サイクルもこれまでどおり続けます。
・「もんじゅ」も、いつでも元に戻せるようにしながら続けます。
・核のゴミの処理はめどをつけないままどんどんゴミを貯めこみます。
・地元が反対してもそれは無視して最終処分場の場所を国が決めます。
・原発の事故やゴミ処理のコストは、電力会社の負担にするのは最小限として、殆どを国民の税金と消費者の負担に付け替えます。
・エネルギー安全保障の名の下に壮大な利権の仕組みを拡大します
・原発事故の最大の責任者である経産省を不問に付します。
・その他、重要でないのにわざわざ書いたことを含め、ここに書いたことは、全て予算要求の重要な根拠として使います。
●良心のかけらもない「真摯な反省」

「事故発生を防ぐことができなかったことを真摯に反省し」というなら、何をどう反省して、誰がどう責任を取ったのかを書くべきだが、何も反省していなくて、誰も責任を取っていないので、何も書けない。こんなに不真面目な「真摯」という言葉の使い方は初めてだ。

●原発は長所ばかり?の「重要なベースロード電源」

原発の位置づけについては、「燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく」「数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる」「低炭素の」「准国産エネルギー源」「優れた安定供給性」「効率性」「運転コストが低廉で変動も少なく」「運転時には温室効果ガスの排出もない」などと、「長所」だけを羅列して、「重要なベースロード電源」と位置づけた。

他方、長所の記述と並んで記載されるべき、安全確保の困難さ、地震の活動期に入った日本ではとりわけ危険性が高まっていること、事故が起きたら取り返しのつかない被害が出ること、十分な避難対策の実施が困難なこと、核のゴミの処理ができないこと、事故処理やゴミ処理のコストを入れれば非常に高いこと、作業被爆やテロの危険性などのリスクについては一切触れていない。

こんなに一方的な原発礼賛は、いまだかつて見たことがない。

●再生可能エネルギーは「高くて不安定」と決め付け

再生可能エネルギーの位置づけでは、「まず、安定供給面、コスト面で様々な課題が存在」と欠点を一方的に指摘している。欧州などでは、安定供給面で重要な役割を果たしていることなど全く無視した議論であるし、後述するとおり、原発は風力はもちろん太陽光よりも高いという欧州の常識も全く無視した記述となっている。日本でしか通用しない、おそろしく「遅れた」認識をさらけ出してしまった。

●原発推進なのに「可能な限り低減」とまやかしの表現

この計画に書いてあるのは、ただひたすら原発を進めますという話ばかりである。

しかも、ありとあらゆることを国が前面に出てやるという。その意味は何かというと、全ては国民の税金につけ回ししますよ、という意味でしかない。その他の部分も、よく読むと、要するに電力料金に転嫁して消費者に押し付ければよいという考え方。非常に不真面目としか言いようがない。

それほどなりふり構わず、原発を推進しようとしながら、「原発依存度については」「可能な限り低減させる」と書いてある。しかし、書いてある内容は、可能な限り原発を推進するとしか読めない。いずれにしても、「可能な限り」というのは、官僚の常套句であって、全くできませんでしたと言っても、「可能でなかったので」と一言言えばすむという魔法の言葉である。1%でも下げれば、「殆ど不可能なのによく頑張った」と自己評価するのである。

●原発は安全だという嘘

もちろん、この計画には、原発の規制基準が全く不十分であることは書いてない。

「世界で最も厳しい水準の規制基準」と決め付けているが、規制委の基準は、避難対策が入っていない大欠陥基準である。こんなものをよく世界最高の「水準」と言ったものだ。安倍氏との違いは「世界最高」ピリオド、とまでは言えなかったことだ。「水準」と入れたところに恥ずかしいからという気持ちがほんの少し現れたのかもしれない。

とにかく原子力規制委員会が安全だと言ったら、安全だというだけ。規制委を免罪符に使っている。しかし、規制委は、「避難対策は知らない」と言っている。そして、政府も避難対策については責任を負わない。避難対策について、科学的、専門的な審査なしで動かしてしまうという、世界中が驚くような方針になっている。
福島の事故への真摯な反省はどこへ行ったのか。

安全神話はなくなったというが、まさに、絶対に事故が起きないと考えているからこそ、避難対策が不完全でも動かしてよいということになっている。安全神話の完全復活と言ってもよいだろう。

●原発は安いという嘘

重要なベースロード電源であるためには、安くて止まらないということが必要だが、実際には、原発は高い。止まらないと言うのも嘘で、単に止めにくいというだけだ。トラブルがあれば、巨大な供給ロスが起きるので、全く当てにしてはいけないことは、東日本大震災の時に経験した。

そもそも、原発が安いと言っている先進国は日本くらいだ。
米国は、政府としては原発推進だが、過去38年間原発は新設されていない。それは、ただ単に、経済的にペイしない、つまり高いからに他ならない。米国では、GEなどが原発はペイしないと公式に認めている。

英国は欧州では、フランスと並ぶ原発推進国だが、やはり、民間に任せても一向に原発ができないので、仕方なく、補助金を出すことにした。しかも、その補助金が風力に対するものより高いというのが現状だ。

福島事故のコストが少しずつわかってきたが、それでも、まだまだ際限なく増えることは明らかだ。日経センターの非常に少なめに見積もった試算でも風力発電よりも高くなりそうな水準である。原発の発電コストは、8.9円という政府試算の2倍を超える17円の水準だというのだが、それには核のゴミの費用や、本格的な除染の費用を含んでいない。・・・・・・

2.原発再稼働が秒読みに入った

前回の動画版でも少し話したが、もう少し、詳しく原発再稼働について解説してみたい。

●原発再稼働のために作られた原子力規制委員会

原子力規制委員会が、3月13日、再稼働の審査をしている10原発のうち、九州電力の川内原発(せんだいげんぱつ・鹿児島県)の審査を優先的に進めることを決めた。これにより、川内原発が規制基準適合原発第一号になることがほぼ確実となった。

もちろん、安倍政権のやり方には大きな問題があるのだが、規制委にも大きな責任がある。というより、今の規制委がある限り、どう転んでも原発再稼働は避けられない、と言ったほうがよいかもしれない。

実は、今の規制委は原発を再稼働するために作られた組織だ。私は、この点を、規制委の正式発足前から指摘してきたが、これまでの規制委の活動経緯を見れば、そのことはよくわかってもらえると思う。

まず最初に思い出さなければいけないのが、2011年の夏の事件だ。関西電力の大飯原発について、原子力安全委員会(当時)が安全宣言を出すのを拒否した。しかし、安倍氏と並ぶとも言われる右翼の野田政権は、政治的な判断で安全宣言を出して大飯を再稼働させて、世界を驚かせた。そのイケイケ内閣が人選したのが、現在の規制委のメンバーだ。原発を動かさないという判断をするような人を野田内閣が選ぶはずがないと考えるのが普通だろう。

●ひたすら再稼働のために走り続けた規制委

第二に、規制委は、わずか半年あまりで新しい規制基準の案をまとめてしまう。世界標準から何周も遅れたところから、世界の実態を調べるだけでもたっぷり一年はかかると言われていた。私が副会長を務めた大阪エネルギー戦略会議(会長は植田和弘京都大学教授)では、世界の安全基準に関する権威である佐藤暁氏が普通なら3年、急いでも2年はかかると言っていたのを思い出す。

こうしてやっつけでできた基準は、「世界最高」とはかけ離れた、日本の原発を動かすことだけを考えた基準に成り下がってしまった。

第三に、規制委は、設立してから1年近く、ただひたすら再稼働の準備に全力を傾けていた。福島第一原発の問題には、ほとんど関心も示さなければ、人員もほとんど割かなかった。その結果が汚染水問題の深刻化と事故収束の遅れだ。本来は、まず、福島第一に全力を投入して、それが一段落してから再稼稼働へと動くのが筋なのに、再稼働のために選ばれた委員たちには、そんなことなど、全く思い浮かばなかったようだ。

●最大かつ致命的欠陥は避難対策が規制基準に含まれなかったこと

そして、最後に、極めつけは、規制委は、原発の避難対策を規制基準に全く盛り込まなかったばかりか、一切のリンクを断つ姿勢を示していることだ。一方、安倍政権は、規制委が規制に適合していると認めた原発は再稼働を進めるという立場だ。避難対策は、結局、地元自治体が作ったもので「良し」ということになる。しかし、周知のとおり、地元自治体は、お金欲しさにとにかく再稼働してくれというところがほとんどだ。客観的、専門的なチェックなど期待できない。つまり、日本では、過酷な事故が起きて、放射能がそこら中に放散される事態を想定しておきながら、それから逃げるための避難対策がないか、著しく不十分なまま原発を動かすことが出来るという、世界の先進国ではおよそ考えられないようなことになりそうなのである。

ここで、避難対策なしで動かすという批判をすると、「いやいや、一応は対策が作られるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれないが、実は、日本中の原発で十分な避難対策を作れるところは一つもないということがわかってきた。

それは、そんなに難しい話ではない。まず、原発の過酷事故が起きると、早ければ2時間でメルトダウンが生じる。放射能濃度を下げるためのフィルターベントなどが設置されていても、放出される放射能は、人体に影響を与えるレベルでもよいという規制基準を規制委は定めた。この点は、東京電力の廣瀬直己社長が新潟県の泉田裕彦知事との会談ではっきり認めていたことだ。なぜ、人体に影響を与えるレベルのままで放出することを認めるかといえば、それ以上下げるのは困難ないしコストがかかり過ぎると電力会社が反対しているからだ。規制委は、明らかに住民側ではなく、電力会社の側についていることがわかる。

こうした規制基準の現状を前提にすれば、放射能が半径30km圏内(避難地域となる可能性がある地域)に到達するのに、事故後数時間という事態が予想される。従って、その前に全住民を避難させることが必要になる。・・・・・・


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